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Journalvol.002

坂田のり子(Curensology ディレクター)

「カレンソロジーの
世界観ができるまで」後編

2018.04.10

〈カレンソロジー〉のコンセプトに共鳴し、世界観をより広める新鮮なアイデアをもたらしてくれるアーティストやクリエイターとの取り組みをご紹介するこの企画。今回は引き続きディレクターの坂田のり子インタビューをお届け。後編では3月にオープンを果たしたショップのディレクションから、ブランドの今後の展望について尋ねた。

着る人と感動を共有し、ともに成長できるブランドへ。

〈カレンソロジー〉にはオリジナルコレクションの他に、2つのレーベルが用意されている。デニムやカーゴパンツなどコーディネートには欠かせない定番であり愛着を持って長く着られるアイテムを提案する〈&RC〉。服のフォルムや生地感にこだわり着心地の良さを堪能できるとともに、カラーやプリント、布の動く表情など視覚的な美しさも楽しめる、旅先から日常までシーンを選ばずに着られるウエアをラインナップした〈5AWARENESS〉。これらに加え、旅先で出会い思わず心が奪われるような素直に美しいと思える感覚を大切にセレクトした小物や雑貨、ヴィンテージアイテムが揃うことで、コレクションは形成されている。それぞれ違った役割を持った要素を自由にミックスしてアレンジが楽しめるのも〈カレンソロジー〉の魅力。そんなオリジナルレーベルのウエアデザインやセレクトアイテムをピックアップする上で、坂田さんはどんな女性像を思い描いていたのだろうか?
「私たちがブランドを作り上げていく中でイメージしていたのは、好奇心が旺盛でいろいろな物事を柔軟に吸収し、成長する余白を残している女性です。経験豊富で完璧な女性よりも、肩の力が抜けていて自由や曖昧な雰囲気を持った少し隙があるぐらいの女性のほうがチャーミングだと思うんです。この私たちが想像している女性像はまさにブランドコンセプトにも通じています。最初からブランドの世界観をきっちりと絞り込むのではなく、それぞれ違った個性を持つレーベルや、国や年代を限定せず自由な視点で買い付けしたアイテムを展開して幅広い選択肢を用意することが大切だと考えます。そんな着ていただく人に感性を委ねることで、自然と〈カレンソロジー〉の世界観にも広がりや奥行きが生まれると思うんです。だからその時々の気分で面白いと思えるものを柔軟に取り込めて、いかようにも変化していけるようにブランドにも余白を残しておきたかったんです。これからコレクションを通して様々な物や人と出会い、その繋がりから生まれる経験や感動をみなさんと共有しながら一緒に成長していける、そんなブランドにしていきたいんです。まさに自由に広い世界を旅して成長する女性のように。

定期的にお花屋さんへ足を運び季節ごとの旬な花を手に入れて、お気に入りのフラワーベースにいけて部屋に飾る。そんな花と向き合う時間は坂田さんにとって日常の癒し。

有機的なものがもたらすモダンさがブランドのアクセントに。

〈カレンソロジー〉の洋服をデザインする上で、これまで紹介してきた“旅”という大きなテーマの他にもさまざまな要素がデザインに取り込まれている。なかでも特にブランドの世界観にさらなる奥行きを与えているのが花や植物の存在だ。
「今回のコレクションでは多くのオリジナルテキスタイルを作ったのですが、レースやプリントのデザインは旅先で見つけたお花の本やポストカードからインスピレーションを受けたものが多いです。旅をして特別な体験をするのも素晴らしいことですが、お花や植物を身の回りに置いて自然を感じるということも私にとって何気ない日常を豊かに過ごすための大切な要素。そんなお花や植物がもたらしてくれる癒しや季節感を、身につけることで感じて欲しいという気持ちもあって、自然とフラワーモチーフのデザインが多くなりました」。

花や植物を取り入れたアプローチは洋服のデザインのみならず、青山と新宿にオープンした〈カレンソロジー〉のお店作りにも活かされている。
「旬に合わせて並ぶお花の色や香りが変わることでお店のイメージも変化していくお花屋さんで、四季の移ろいを感じるのが好きなんです。そんなショップに足を運ぶことで五感を刺激してくれるような体験ができる仕掛けを取り入れたいと思い、この春夏シーズンは『TRAVEL PLANTS 〜旅する植物』と題して、ショップの展示と連動して植物を絡めた施策を行っていきます。これは私たちのブランドコンセプトに共鳴いただいたボタニカルアーティストやフラワースタイリストの作品を月替りでご紹介していく企画です。
山で採取した植物を編んで迫力のあるリースを創作する二名良日さんや、「花とともに暮らす」をテーマにカートでお花を移動販売する「ハナナヤ」さんのブーケなど素敵な作品を添えさせていただくことで、単に服を見るだけではなくブランドの世界観をより立体的に楽しんでいただきたいんです。また、秋冬にはニットアイテムの魅力を視覚的に伝えられるような展示なども考えていこうと思っておりますので、ぜひお店に足を運んでいただき季節ごとの変化を楽しんで欲しいですね」。

〈カレンソロジー〉では麦わら帽子や手編みのカゴなど、手作りの温かみが感じられるアイテムのなかにもモダンさをプラスしたようなデザインを提案。直線的なデザインに有機的な籐編みを配したピエール・ジャンヌレの椅子のような、そんな素敵な佇まいがイメージソースとなっている。

坂田のり子

東京出身。株式会社ベイクルーズに入社後、ブランドのバイヤー兼コーディネーター、ショップマネージャーとしてブランドの立ち上げに関わるなどの経験を積んだのち退社。その後、<マッキントッシュ フィロソフィー>のディレクターに就任。2017年からは、<カレンソロジー>のブランドディレクターとして立ち上げに参加。

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